現場監督、設計の給料が安い

家族や自分自身さえも顧みず、お金のために働く人もいれば、日々の暮らしを楽しめる程度に働いて、そこそこな収入が入ってくればそれでいいという人もいます。

お客様や社会のために、また社員のために働く社長もいれば、目先の利益確保や、決算をよく見せるために働く社長もいます。

私は、今の成熟した日本の住宅産業において、人はやりがい(自己実現)と社会のために働くのだと思います。私たち住宅産業に従事する者にとって、「社会のために」とは、まずお客様や地域、そして社会全体の視点に立って考えて、どのようなサービスを提供したら喜ばれるのかを考えることです。

不動産・建築関係のコンサルティングを通じて、私はお客様から多くのことを学びながら、建築業界の慣行に対して、一つの根本的な疑問にぶつかりました。

「スーパーゼネコンや大手ハウスメーカー、地元の工務店に至るまで、この業界では皆、まったく同じビジネスモデルで競争している。営業だけを給料面で優遇する一方で、現場監督や設計、大工や職人といった建築実務の担い手を、安い給料で従事させていていいのだろうか?」というものです。

求人統計データによると、現場監督の平均年収は約444万円といわれています。月給に換算すると約37万円ですが、大卒の工務職初任給は約21万円が相場となっているようです。

設計給与の平均値は出ておりませんが、これは有資格者かどうか、職責の範囲によって大きく異なることが原因のようです。建築士資格なしの場合は350万円〜450万円、二級建築士は450万円〜550万円、一級建築士となると550万円〜650万円という相場のようです。

たしかに戦後の急激な高度成長時代には、公共工事も積極的に行われましたし、住宅の需要も旺盛でしたので、商品住宅を次から次へと建てる上では一定水準にせざるを得なかったという事情もありました。しかし、注文したお客様は、現場監督や設計の給料がこの程度だとは思っていないのではないでしょうか?

当たり前のようにアウトソーシングや合理化を続けてきた結果、設計事務所、下請け会社、孫請け会社・・・と構造が複雑になり、過去のマンション耐震偽装問題のように、いざというときの責任の所在がわからなくなってしまいました。

住宅に関しては、工業化によって、作業員が組み立てるだけでも家が建ってしまうようになり、現場監督や設計たちの技術はみるみる劣化しています。

最近では、アウトソーシングという建築業界の常識に反して「内製化」を進める住宅会社が増えています。「設計や現場監督ばかりたくさんいても、仕事とつくり手がいなければ建築はできない」という考え方から、まずは仕事を取る営業、次に大工や職人といった現場の担い手に優先してお金を払います。また、CGデザイナーを採用して、模型では再現できないような色や背景をお客様に提案するための建築パースにお金をかけたり、SNSをはじめとする集客の運営代行に予算を振り分けています。

住宅会社では、営業や設計、施工管理以外の工程をすべてアウトソーシングしています。何も知らない新人を大工や職人として会社で雇って一から教え込むより、すでに技術を身につけた外部の職人を雇うほうが時間的にも早いですし、コストもかかりません。必要なときに必要なスタッフだけ集めるほうが、明らかに合理的なのです。そのスタイルは、戦後の高度成長時代から現在に至るまで、ずっと変わっていません。

その結果、どうなったでしょうか。

若い現場監督や設計の育つ場所がなくなりつつあります。そして、給料も安くなる傾向にあります。

一方では、現場監督や設計の高齢化がどんどん進んでいます。60歳代の現場監督や設計は、この先どんどんいなくなります。60歳定年後は1年ごとの契約社員となる場合も多いでしょう。日本の建築現場を陰で支えている50代の現場監督や設計も、いずれ引退するときがやってくるでしょう。

40代以下の現場監督や設計は、なり手が減少しています。しかし、現場監督や設計が高い給料を取れるようになったとしたらどうでしょうか?

現場監督や設計に憧れて、入社する人も増えるでしょう。後進がいれば、彼らの教育ができます。現場監督や設計の仕事で、お金を稼ぐことができるようになります。

それなのに、現実は後進を抱える余裕すらありません。会社にいられなくなったら路頭に迷うだけです。憧れや魅力のある仕事にはなっていません。

このままいくと、10年後にはどうなるのだろう?

私は考えました。

上の世代はどんどん姿を消し、今60代の現場監督や設計は70代に、50代の現場監督や設計は60代になります。

では、20年後は?

今60代の現場監督や設計は80代に、50代の現場監督や設計は70代になります。リタイアする人も少なくないでしょう。

そして、40代以下の現場監督や設計が60代を迎えたとき、現場監督や設計という職業は、絶滅寸前の天然記念物のような存在になってしまうのではないでしょうか。

そのとき設計実務や現場を監督するのは、人ではなくAIかもしれないのです。

はたしてそうなったとき、注文住宅の中心的な役割を担うのは、現場監督や設計ではなく、「大工」なのかもしれません。それも多能工化した「大工」です。

「うちの息子は頭も悪いし、取り柄もないから、大工でもやらせるか」「今どき大工なんて流行らないよ。きつい・汚い・カッコ悪いの3Kなんだから」そんなやり取りを、たまに耳にすることがあります。とても悲しいことです。日本ではいったいいつから、「大工は取り柄のない人がなる職業」(危険でわりの良くない職業)などという誤ったイメージが定着したのでしょうか。

誤解を解くためにも、ここで簡単に、大工について説明しておきます。

かつての建築現場は、大工の棟梁を頂点として、その下に大工や職人、さらにその下に大工や職人の手元となる作業員がいました。下にいくにつれ人数が多くなり、ちょうどピラミッドのような形をしています。

大工というのは、現場のトップです。一言でいうと、大工仕事はもちろん、設計もできて、図面も引けて、現場の監督もできて、さらに弟子を育てられる人のことです。オールマイティで、何でもできる人です。

高い給料をもらえる現場監督というのは、「大工」のような仕事ができる人をさします。

そして、職人とは、専門職です。職人と一言でいっても、その仕事の内容はさまざまで、高所で足場を組立てる「鳶(とび)」、コンクリートを流し込むための木製のパネルを加工する「型枠」、設計図に基づいて鉄筋を組み立てる「鉄筋」、壁や土にモルタルなどを塗って表面仕上げを施す「左官」など多岐にわたります。

建築一般では、漆(うるし)、表具(ひょうぐ)、庭園(ていえん)など伝統工法の職人もいますし、蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)、京指物(きょうさしもの)のようなしつらえ関係の職人まで、さらに多岐にわたるのです。

「芸術」と言えるほどの域に達するような素晴らしい職人も、日本にはたくさんいますが、彼らは図面を描いたり、弟子を育てたりすることはあまりありません。一般的な職人とは、あくまでもその仕事のみに単独で能力を発揮するスペシャリストであり、総合的なスキルを要求される大工とは異なります。

高い給料をもらえる設計とは、「職人」のような仕事をできる人をさします。

そして、どちらにも属さない、安い給料しかもらえない現場監督や設計は「作業員」にあたります。

作業員とは、大工や職人を手伝って単純作業を行う人をさします。職人の卵、大工の卵と言い換えることもできるでしょう。ただし、向上心がないと、作業員はいつまでも作業員のまま。孵化しないで終わってしまいます。

私が考える理想的な施工体制を野球に例えると、設計や施工管理(現場監督)は”監督”、大工や職人は”選手”、”作業員”は補欠となります。

選手の中には、今をときめく花形スターがいます。しかし、優秀な選手なら誰でも監督になれるのかというと、決してそんなことはありません。野球というゲームを深く理解し、その場その場できちんと作戦を立てられ、全員から信頼され、チームを勝利に導く統率力のある者だけが、監督になれるのです。 現場監督や設計が自らの給料を上げたいと思うならば、目指すべきは”監督”なのです。

私はこの善循環を生み出すために、コネクトカメラの開発・運用を進めてきました。

「現場を改善し、お客様の満足度100%を実現する」を目標に掲げています。

お客様からの信用・信頼を獲得するために、最小のコストで「現場改善」の善循環サイクルをつくり上げる方法に興味はありませんか?あなたのお時間を20分ほど、私にいただければ、同じような、もしくは、さらに良い結果をあなたが達成する方法をお教えします。

「現場改善」の主たるテーマは次の4つです。

  1. きれいな現場をつくる → 環境整備
  2. より良い品質の家をつくる → 品質管理
  3. 事故のない現場をつくる → 安全管理
  4. お客様、近隣住人が喜ぶ現場をつくる → マナー教育

ただし、この4つを実感するのに大変な管理コストが発生しては意味がありません。現場監視カメラなら、最小の管理コストで最大の改善パフォーマンスを実現することができます。

それと同時に何やら難しいと思っていたであろう「建築DX」まで進むので、まさに一石二鳥と言えるでしょう。

さあ、現場リアルタイムカメラで現場監督さんと工事業者さんの現場教育を徹底的にやる時が来ました。

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