現場コミュニケーションは技術力です
工事現場では、多くの会社や人が入り乱れて仕事をしています。このため、コミュニケーションの良し悪しが、仕事の品質や効率性を左右します。
現場コミュニケーションは技術力です。
この技術力を使いこなすことが、良い現場管理には欠かせません。
コミュニケーションの技術力において、基本となるのは「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」です。まずは、この3つのキーワードの定義を理解して使い分けることが第一歩になります。
「ホウレンソウ」の定義とは?
「報告」「連絡」「相談」それぞれの定義を問われたら、どう答えるでしょうか?人それぞれに異なる定義でとらえていたら、お互いのコミュニケーションはうまくいきません。この3つの違いは、「誰に伝えるのか?」「何を伝えるのか?」をベースにして考えるとわかりやすくなります。
【誰に伝えるのか?】
報告:指示、命令、依頼した人に対して
連絡:関係者全員に対して
相談:信頼関係のある人に対して
【何を伝えるのか?】
報告:指示、命令、依頼に対する返答を伝える
連絡:相手に対して伝えた方がいいと思うことを伝える
相談:自分が聞いてほしいと思うことを伝える
まず「報告」とは、自分に何らかの指示や命令、依頼などをした人に対して、その返答をすることです。いわば、自分と相手とのキャッチボールであり、受け取ったボール(指示や命令、依頼)を相手に投げ返すのが「報告」です。「投げた相手に返さないと成り立たない」という点で、「報告」とは”義務的コミュニケーション”と言えます。
これに対して「連絡」は、関係者全員に「相手に伝えた方がいい」と思うことを伝える行為です。
たとえば、工事中の現場で、監督である自分の携帯電話に周辺住民からのクレームが入ったとします。その情報は誰に伝えるべきでしょうか?
お施主様はもちろん、自社の上司、協力業者の職人など、関係者にすぐに情報共有しなければなりません。
会社に連絡してくる方もいるでしょうから、店長や営業担当者、事務員にも事情を説明しておいた方がいい場合もあります。また、近くで工事をしている社員にも注意喚起するべきでしょう。 このように、誰に情報提供するかは本人にゆだねられています。この点において、「連絡」とは、”自主的コミュニケーション”といえます。
3つ目の「相談」は、「自分が誰かに相談したい時」を考えると、その本質が見えてきます。普通は、社員であっても、職人であっても、相談しても回答を期待できない相手や、そもそも相談に乗ってもらえそうにない相手には、決して「相談」を持ちかけません。
逆に言えば、「相談」とは、信頼できる相手にだけ持ちかけるものです。その点で、”相互信頼コミュニケーション”と言えます。
「報告」の失敗例
現場で発生する問題の80%は、「ホウレンソウ」のまずさに原因があります。しかし、原因の所在が形となって見えないことで、対策が困難になることが多いのです。
まずは、「報告」のまずい例を挙げます。「報告」では、指示・命令というボールを受けたら、報告というボールを投げ返す必要があると書きました。このキャッチボールがうまくいかない原因は、ボールを受ける側(報告する側)にある場合と、ボールを投げる側(指示・命令する側)にある場合とに分けられます。特に多いのは前者で、代表的な例として次のようなパターンがあります。
①指示・命令をためこむ
上司「◯◯くん、午前中に△△様邸の現場を確認してきてくれ。ついでに□□もやってきてほしい。それから、昨日打ち合わせた××様邸の追加工事の見積もりを進めておくように」
◯◯くん「どれからやればいいだろう。。。(優先順位が難しい)」
②指示・命令を拒否する
上司「◯◯くん、昨日の強風で外れたブルーシートを、朝のうちに直しておいてくれないか」
◯◯くん「今ちょっと忙しくて、、、」
③指示・命令をこなすが、結果報告をしない
上司「◯◯くん、現場の△△さんに発注書を届けておいてくれ」
(◯◯くんは発注書を作成して、現場の△△さんに届けた)
※しばらくして
上司「◯◯くん、今朝指示した発注書の件はどうなった?」
◯◯くん「その件でしたら、11時に届けてきました」 上司「業務が完了したら、完了したと私に報告しなさい」
「報告」のまずい行動パターンは、おおむね失敗例①〜③に分類できます。いずれも、”義務的コミュニケーション”という本質が成立していません。
こうした行動パターンを取る人たちが口にする禁句を3つ挙げます。
「わかりません」。
指示・命令がわからない、ということはときにあるかもしれません。しかし、深く考えることなく、「わかりません」というのは、仕事を放棄することにつながります。
「聞いてません」。
指示や命令というものは、一から十まですべてを詳細に伝えることはできません。一を聞いて十を知るとまではいかずとも、七から八を聞いて十を知ることが必要です。二から三を聞いていなかったからといって、「聞いてません」と答えるのは社会人として許されません。
「知りません」。
これはつまり、「勉強していません」ということです。勉強するとは、必要知識を身につける努力をすることです。つまり、「知りません」というのは、「私は仕事をする上で日々の努力をしていません」と自ら言っているようなものです。
ですから、防水工事をはじめとして、手抜き工事が起こらないように徹底的に確認しないといけません。ここも要チェックのポイントです。
「連絡」のまずい例
「連絡」は、”自主的コミュニケーション”です。自主的であるからこそ、個人差が大きく出ます。つまり、きちんと連絡する人と、連絡しない人の差が大きいということです。では、「連絡」におけるマズい例とは、どんな行動パターンなのでしょうか?
①情報を必要な人に渡していない
入手した情報は、その情報を必要とする人に渡さないといけません。これを「情報の共有化」といいます。情報の共有化は、情報の「見える化」ともいい、機能的な現場管理のための必須条件です。
②情報が相手に届いていることを確認していない
上司「◯◯くん、△△様邸の件を□□設備の□□社長に連絡してくれたか?」
◯◯くん「はい、すぐにメールを送りました」
上司「□□社長から返信はあったのか?」
◯◯くん「いいえ、何もありません」
※しばらくして・・・
上司「◯◯くん、□□社長から返信はあったか?」
◯◯くん「いいえ。まだでしたので、□□社長に電話をしたところ、今週は休暇をとっているらしく、、、」
上司「いまさら何を言ってるんだ。□□社長がいないなら、××部長に連絡すればいいだろう」 相手に伝わってこそ、「連絡」したことになります。その点で、◯◯くんの行動は、単なる「発信」にとどまっています。「連絡」と「発信」は異なる、ということを心得ておかなければなりません。
③相手の立場に立って連絡する
相手の状況や立場に応じた「連絡」をしなければなりません。受け取りやすいボールを投げてあげないと、相手は受け取れないのです。
大切なのは、「連絡をする順番(優先順位)を考える」、「緊急性や重要性に応じて伝え方を変える」、「悪い情報ほど早く伝える」という3つです。
「相談」のマズい例
「報告」や「連絡」は、実施する側の行動パターンに問題があることが多いのですが、「相談」は受ける側に問題があることが多いものです。
繰り返しになりますが、「相談」は”相互コミュニケーション”です。相手との信頼関係が熟成されているかどうかが、ポイントになります。次に、受ける側のマズいパターンをいくつか挙げます。
①相談をまともに聞かず怒る
相手の話を聞かない人に多いパターンです。相談に乗ることは、部下育成、職人教育の一環でもありますので、相談を聞かない人は、人材育成を放棄しているといっても過言ではないでしょう。
そういう人に限って、問題が起こると、「どうしてもっと早く相談しなかったんだ」と怒り出します。
②相談を持ちかけられても対応しない
◯◯くん「××の件なのですが、わたしは△△したいと考えているのですが、どう思われますか?」
上司「そうたなあ、、、どうしたもんか。。。」
◯◯くん「できれば、急ぎたいのですが、、、」
上司「うん、考えておくよ」
相談を受けた人は、必ずレスポンスを返さなければいけません。あいまいな態度や先延ばしにすることで、信頼関係が損なわれます。
そのうち社員や職人から、相談はおろか、報告や連絡すらされなくなるでしょう。
③相談をしたい時にいない
相談をしたい時に、その場にいなければ、相談したくてもできません。不在のケースだけでなく、携帯電話にかけてもつながらない、メールをしても返信がないといったパターンは最悪です。工期のある現場においては、相談をしたい時に相談できる環境が必要なのです。
また、現場にいるのに「わたしは忙しいんだ。話しかけるな」という雰囲気をかもし出す人もいますが、これも大間違いです。
現場監督や工事長、工事担当といった現場のリーダーは、工事の節目節目でタイミングよく相談を受けることも重要な仕事の一つといえます。
たとえば、各工事が終わるタイミングで、タイムリーに現場に入ったり、入らないまでも職人に連絡を入れて、相談しやすい雰囲気をつくれるとベストです。
また、職人が現場にいるタイミングで、特別に用がなくても、「調子はどう?」などと声をかけたりすることも、現場管理では必要です。
このように現場のリーダーが、現場の進捗状況を細かく把握して、意識的に周囲が相談しやすい雰囲気づくりを心がけることこそ、現場管理を徹底する最大の秘訣です。
私はこの善循環を生み出すために、コネクトカメラの開発・運用を進めてきました。
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- きれいな現場をつくる → 環境整備
- より良い品質の家をつくる → 品質管理
- 事故のない現場をつくる → 安全管理
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ただし、この4つを実感するのに大変な管理コストが発生しては意味がありません。現場監視カメラなら、最小の管理コストで最大の改善パフォーマンスを実現することができます。
それと同時に何やら難しいと思っていたであろう「建築DX」まで進むので、まさに一石二鳥と言えるでしょう。
さあ、現場リアルタイムカメラで現場監督さんと工事業者さんの現場教育を徹底的にやる時が来ました。
視聴時間・視聴人数 無制